「就職したいから就労移行支援を利用したい」
「就労移行支援はやめとけと言われるけど、なぜ?」
「就労移行支援は闇があるって聞くけど本当?」
障害がある方や病気をもっている方が就職したいと考えたとき、就労移行支援を利用したいと思うのではないでしょうか。
しかし、就労移行支援について調べたとき「就労移行支援はやめとけ」「就労移行支援は闇がある」と出てくることがあります。
そんな口コミや噂を見ると、就労移行支援を利用していいのか不安になりますよね。
そこで当記事では、就労移行支援はやめとけと言われる理由と闇、就労移行支援の事業所選びで失敗しないための方法やメリットについて解説します。
実際に就労移行支援を利用した方の体験談も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも就労移行支援って何?
そもそも就労移行支援とは何でしょうか?
就労移行支援は、病気のある方や障がい者の方の就職活動を支援するサービスです。
就労を目指して、ビジネススキルを基礎から学ぶことができます。
障がいや病気で一度も仕事をしたことがない、障がいや病気が原因で退職したけどもう一度就職したいという人も支援を利用することが可能です。
そして就労移行支援は、国からの補助を受けているため、基本的に無料で利用することができます。
『障害者総合支援法』に基づいて、就労移行支援の事業所が国・自治体から補助を受けることが出来るので、利用する方の負担はほとんどありません。
就労移行支援と職業訓練は?
就労移行支援と職業訓練の違いはなんでしょうか?
職業訓練とは、ハローワークが提供している公的な制度です。
就労移行支援と職業訓練は少し似ていますが、それぞれ目的や報酬の有無などに違いがあります。
就労移行支援の目的は、障がい者が一般企業へ就職するために必要なスキルの習得を支援することです。
対して職業訓練は、就職したい全ての方が就職に必要な専門知識や技術を取得することを目的としています。
報酬の有無については、職業訓練は毎月10万円の職業訓練受講給付金が支給されますが、就労移行支援は報酬が発生しません。
また、職業訓練は障がい者への配慮が基本的にありませんが、障がい者専用のコースがあります。
就労継続支援との違い
障がい者向けの就労サービスには、就労移行支援のほかに『就労継続支援』があります。
就労継続支援は、障がいをもつ方が実際に働く場所を提供しており、一般的に就職が難しい方向けのサービスです。
就労移行支援と就労継続支援では、支援の内容や報酬などに違いがあります。
就労移行支援は仕事に必要なスキルを習得するのに対し、就労継続支援は仕事をこなすことが目的です。
また、前述でも記載したとおり就労移行支援は報酬が発生しませんが、就労継続支援は賃金をもらうことができます。
就労継続支援は『障害者総合支援法』に基づき、難病を抱えていたり障がいがある人の生活を総合的に支援することを目的としているのです。
就労移行支援はやめとけと言われる理由と闇4選
ここまで、就労移行支援について解説しました。
では、なぜ就労移行支援はやめとけと言われるのでしょうか?
当記事では、就労移行支援はやめとけと言われる理由と闇を、下記のとおり4選解説します。
- アルバイトが禁止されている
- 訓練内容のレベルが低い
- 悪質な事業所がある
- スタッフの対応が悪い
就労移行支援を利用したいけど、上記のようなことを聞いて不安になっている方もいるのではないでしょうか。
就労移行支援はやめとけと言われて不安になっている方の参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
アルバイトが禁止されている
就労移行支援は、基本的にアルバイトが禁止されています。
その理由は、アルバイトをしていると就労できるとみなされるからです。
アルバイトで就労できれば、就労移行支援を利用する必要がないと思われてしまいます。
できれば貯金を使ってやりくりしたり、障害年金を受けたりして生活をした方が望ましいです。
就労移行支援を利用しながら生活するのがどうしても難しいという場合は、資産の状況次第ではありますが、生活保護を受けた方がいいでしょう。
現在就労していなくても「就労したい」という意志があれば、生活保護の受給が認められやすくなります。
その場合は、自治体の障がい者福祉窓口へ行き、就労移行支援と生活保護の併用ができるか相談してみるのがおすすめです。
訓練内容のレベルが低い
就労移行支援の事業所にもよりますが、訓練内容のレベルが低い事業所もあります。
レベルが高い訓練を受けられると思って就労移行支援を利用したのに、実際はレベルが低くてがっかりした、なんて声があるのも事実。
就労移行支援は、障がい者や病気がある方など就労が困難な方を対象とし、就労できるレベルまで知識を引き上げて支援することが前提となっています。
そのため、社会人の経験がある人やキャリアアップを目指す人にとってはレベルが低いと感じてしまったり、受けたい訓練がなかったりということもあるでしょう。
就職活動やキャリアアップなどの支援をしている就労移行支援は少数派なので、自分で就職活動をしたりキャリアアップをすることが望ましいです。
では、就職活動やキャリアアップしたい人はどうすればよいのでしょうか?
その方法は、就労移行支援以外のサービスを自分から進んで利用するのがおすすめです。
ハローワークでは一般の方向けにキャリアアップのサービスを紹介してくれることもあるので、就労移行支援と併用しながら利用してみてもよいと思います。
また、有料の転職エージェントや転職を支援してくれるサービスを利用するのもおすすめです。
悪質な事業所がある
就労移行支援の事業所のなかには、悪質な事業所があることも・・・
悪質な事業所は、経営を優先するため利用者にとって不利益なことを行ないます。
悪質な事業所を利用する方にとっては、就労移行支援を利用したこと自体に意味がなくなってしまうでしょう。
下記のような行為がみられる事業所は、悪質な事業所といえます。
- 利用者に対して暴言・暴力をする
- セクハラ・パワハラ行為がみられる
上記のような行為は、犯罪にもあたります。
このような対応をとられては、利用する方が辛い思いをしてしまい、人間不信になってしまったり病気が悪化してしまう恐れもあるでしょう。
行政も事業所が悪質な行為を行なわないようにチェックをしていますが、行政の目をうまくかいくぐってしまう事業所があるのも事実です。
悪質な事業所を見極めることは難しく、利用をはじめてから気がついた、ということもあります。
悪質な事業所にあたってしまった場合は、早めに事業所をやめることが望ましいでしょう。
スタッフの対応が悪い
就労移行支援の事業所では、スタッフの対応が悪いこともあります。
たとえば、下記のようなスタッフがいるところは要注意です。
- スタッフの対応がいい加減
- 障がいや病気に対して理解がない
- スタッフが仕事優先で相談にのってくれない
あまり信じたくはないですが、上記のような対応をするスタッフがいるのも事実です。
こんな対応をされたら、事業所を利用するのが嫌になってしまいますよね。
事業所によっては、障がいや病気に対して理解がないために、スタッフの口調が強めだったりサポートを怠ったりすることもあるようです。
このようなスタッフは、支援員として適切ではありません。
就労移行支援のスタッフがしっかりとサポートしてくれず、就職するのに時間がかかってしまったり、途中で通うのをやめてしまったりすることもあります。
嫌な思いをしないためにも、就労移行支援の事業所は慎重に選ぶ必要があるでしょう。
就労移行支援で失敗しないための方法6選
就労移行支援はやめとけと言われる理由と闇について紹介しましたが、就職するために就労移行支援を受けたいと思う方はたくさんいると思います。
でも、悪質な事業所にあたるのは嫌だな・・・と思うと、なかなか就労移行支援を受けるのに踏み出せないこともありますよね。
そこで次は、就労移行支援で失敗しないための方法を紹介します。
就労移行支援で失敗しないための方法は、下記の6選です。
- どんな支援を受けたいのか考える
- 事業所を探して候補をいくつかあげる
- 事業所の口コミを調べる
- 事業所を見学する
- 信頼している人と見学に行く
- 支援を体験する
上記の方法を実践すれば、自分にあった就労移行支援の事業所を探すことができるでしょう。
ぜひ、就労移行支援の事業所を選ぶときの参考にしてみてくださいね。
どんな支援を受けたいのか考える
あなたは就労移行支援で、どのような支援を受けたいと思いますか?
漠然と「就職したいから」という理由で就労移行支援を受けるのもいいですが、自分がどんな支援を受けたいのか考えてみることもおすすめです。
自分がどんな支援を受けたいかはっきりしておけば、より自分に合った就労移行支援を受けることができるでしょう。
就労移行支援は、主に3つのタイプがあります。
- 一般型
- スキル特化型
- 障がい種別特化型
それぞれの特徴は、下記のとおりです。
- 一般型
-
- 多岐にわたるプログラムが用意されており、就職するために必要なスキルを高めることができる。
- 事務職を目指す人におすすめ。
- スキル特化型
-
- IT関係のスキル特化型が多く、専門的なスキルを身につけるためのプログラムが用意されている。
- 資格取得のためのノウハウを学べる。
- 障がい種別特化型
-
- 障がいの種類に応じたプログラムが用意されている。
- 同じ障がいをもつ利用者と一緒に、安心して訓練を受けられる。
- 事業所が障がいに深い理解があるため、利用しやすい。
IT関連のスキルを身につけたい、障がいに理解があるところを利用したいなど、自分の希望をはっきりさせることで自分に合った事業所を見つけることができます。
事業所を探す前に、自分がどんな支援を受けたいかピックアップしてみてはいかがでしょうか。
事業所を探して候補をいくつかあげる
事業所をいくつか探して、候補をいくつかあげるのもおすすめです。
前述したように、就労移行支援の事業所は一般型・スキル特化型・障がい種別特化型の3つに分かれます。
自分に合うかどうかはもちろんですが、下記のポイントにも注意して事業所を探してみましょう。
- 支援のプログラムの内容
- 事業所内の雰囲気
- 支援スタッフとの相性
- 事業所からの就職者数・就職の定着率
- 事業所が通える場所にあるかどうか
支援の内容や事業所の雰囲気などは大切なポイントですが、あまりにも遠い場所にある事業所だと、交通費の支払いが厳しくなるかもしれません。
就職することが最終的な目標なので、就職者数や就職の定着率も重要なポイントといえます。
探すときのポイントに注目して、いくつか事業所をピックアップしてみましょう。
事業所の口コミを調べる
気になる就労移行支援の事業所が見つかったら、事業所の口コミを調べてみましょう。
事業所を探しているなかで事業所の口コミを検索すると、事業所の口コミや評判が記載されています。
実際に事業所を利用していた方の口コミを見ると、事業所の良いところ・悪いところがそれぞれ見えてくるでしょう。
その口コミを参考にして、自分に合いそうな事業所を選べるのではないでしょうか。
支援の内容は事業所のホームページなどを見れば簡単に知ることができますが、スタッフの対応や雰囲気は実際に利用していた方の口コミが一番参考になります。
事業所を利用していた方の口コミを見ることは、事業所を選ぶときに参考になるのではないでしょうか。
事業所を見学する
事業所をいくつかピックアップしたら、実際に事業所へ行き見学してみましょう。
複数の事業所を見学すれば、自分に合った事業所を見つけることができると思います。
しかし「見学したら利用しないと失礼なんじゃないかな?」と考えてしまうこともありますよね。
せっかく丁寧に説明してもらったのに断りづらかったり、その場の雰囲気に流され利用を決めてしまって後悔したという方もいます。
就労移行支援は事業所を見学したからといって、事業所の利用をすぐに決める必要はありません。
断りづらいときは「他の事業所も見学してみます」「ゆっくり考えてから決めたいです」と正直に断っても大丈夫です。
事業所をいくつか見学して、自分に合った事業所を探してみましょう。
信頼している人と見学に行く
事業所を見学するときは、信頼している人と見学に行くのがおすすめです。
障がいや病気に一番理解がある家族や、仲のいい友人と見学に行ってみましょう。
信頼している人と一緒に事業所の見学に行けば、自分とは違った観点で見てくれることもあります。
自分では気づかないところを見てくれたり、客観的に事業所との相性を見てくれたりするので、利用する事業所を決めるときに参考になるでしょう。
また、前述したような事業所の利用を断りづらい場面でも、一緒に見学してくれる人が言ってくれることもあります。
事業所の見学に行くとき一人だと不安な方は、信頼できる人と見学に行ってみてはいかがでしょうか。
支援を体験する
事業所の見学に行ったときは、実際に支援のプログラムを体験することもできます。
実際にプログラムを体験して、自分に合っているか、利用を続けることができるかどうかをチェックしてみましょう。
支援を体験することで、事業所内の雰囲気やスタッフの対応も知ることができます。
よくあるのが、スタッフの対応の変化です。
体験時は優しく丁寧に教えてくれたのに、いざ事業所を利用したらスタッフの対応がそっけなかった、ということもあり得るでしょう。
支援を体験するときは、スタッフと利用者のやり取りに注目してみるのもおすすめです。
毎日交流がある利用者との会話を見れば、普段のスタッフの対応が見えてくると思います。
利用者に対してそっけない態度をとっている場合は、要注意です。
ただ、支援を体験しながら一人でいろいろチェックするのは大変なので、信頼できる人に同行してもらうのがよいでしょう。
就労移行支援を利用するメリット3選
就労移行支援は、障がいや病気をもつ方が就職に向けた支援を受ける場所です。
でも実は、就職活動以外にも就労移行支援を利用するメリットがあります。
就労移行支援を利用するメリットは、下記の3つです。
- コミュニケーション能力も身につく
- 生活のリズムが整う
- 交通費や食事が支給される場所もある
コミュニケーション能力や生活リズムは、就職活動にもよい効果を与えてくれます。
就職が決まってからも役に立つでしょう。
それでは、ひとつずつ解説していきます。
コミュニケーション能力も身につく
就労移行支援の事業所では面接の対策をするのはもちろんですが、コミュニケーションの勉強も受けることができるんです。
コミュニケーションの勉強のことを、SST(ソーシャルスキルトレーニング)と言い、次のような内容を学ぶことができます。
- 迷惑だと思われない質問のしかた
- 仕事を手伝ってほしいときのお願いのしかた
- 残業を断る方法
就職すると、さまざまな人と仕事をする機会が増えます。
対人関係でどのようなやりとりをすればうまくコミュニケーションがとれるか、を学ぶことができるので、安心して就職活動を進めることができるでしょう。
生活のリズムが整う
就労移行支援は、基本的に毎日通所することが求められます。
そのため、起床の時間や出かける時間などを決めることで、生活のリズムが整うのです。
しかし、最初から毎日きっちり通うのは精神的にも肉体的にも辛い、という方もいるのではないでしょうか。
就労移行支援の事業所には生活指導員のスタッフが在籍しているため、無理のないように通えるよう相談することができます。
スタッフと相談して、週1回から利用をスタートしたり、午後から事業所を利用するということもできるでしょう。
このように、就労移行支援の事業所は利用者に応じて通う回数を決められるので、不安がある方はスタッフに相談してみるのがおすすめです。
交通費や食事が支給される場所もある
事業所によっては、交通費や食事が支給される場所もあります。
基本的にアルバイトが禁止されているので、交通費の支給や食事が提供されるとありがたいですよね。
食事は主に昼食が提供されるため、食生活を整えることができます。
昼食は栄養士が監修しており、精神栄養学を取り入れてメニューを考えてくれる場所もあるようです。
また、交通費が支給されることで事業所を利用する方の金銭的負担の軽減にもつながります。
交通費が支給される場所であれば、少し遠い場所にある事業所でも安心して通うことができますね。
就労移行支援を利用した方の体験談
「就労移行支援を利用するメリットはわかったけど、実際通っていた人はどうだったの?」
「実際に通っていた人の体験談を知りたい」
就労移行支援を利用するメリットを紹介しましたが、上記のような疑問をもつ方もいるのではないでしょうか。
事業所の口コミを調べたり、見学したりすればある程度安心できると思います。
そして、実際に事業所を利用していた方の体験談を知れば、より明確に就労移行支援を利用するイメージが湧くでしょう。
ここでは実際に就労移行支援を利用した体験談を紹介します。
体験談を見ることで、その人がどんな経緯で就労移行支援を利用することになったかも知ることができるでしょう。
それでは紹介していきます。
体験談
- 20代/女性/発達障害
‘ここに来るまで自分の出来ること出来ないことが分からなくて、履歴書に書けず、求人に応募しては書類選考で落選することを繰り返していました。
そんなとき、カウンセラーさんからこちらの事業所を紹介されました。チャレンジド・アソウでは、電話対応、来客対応、コミュニケーションの方法や税金・社会保険などについて学びました。またパソコンの時間にワードやエクセルに時間を計りながら取り組み、検定に合格することもできました。
その後、1ヶ月間の職場実習に参加し、その会社の面接を受け合格。実習中に一緒に働く方から指示を受けたり、一緒にお弁当を食べたりして交流があったので安心して働き始められました。
現在は年末の年賀状発送に向けて顧客リストの整理を行っています。今は契約社員ですが正社員になれるよう、ひとつひとつの仕事を丁寧に行っていきたいです。’
(『障害者の就労移行支援事業所チャレンジド・アソウ』https://challenged.ahc-net.co.jp/voice/より引用)
就労移行支援では、電話応対・来客対応など就職に必要なスキルはもちろん、コミュニケーションの方法も学ぶことができます。
上記の方は、職場実習で一緒に働く仲間がいたことで、安心して働くことができたそうです。
就職するうえで一緒に頑張れる先輩や仲間がいることは、心の支えになります。
そういった意味でも、コミュニケーション能力を身につけることは、とても重要なことだと言えるでしょう。
就労移行支援「やめとけ」と言われる理由と闇のまとめ
ここまで、就労移行支援は「やめとけ」と言われる理由と闇について解説してきました。
就労移行支援は「やめとけ」と言われる理由と闇は、下記の4選です。
- アルバイトが禁止されている
- 訓練内容のレベルが低い
- 悪質な事業所がある
- スタッフの対応が悪い
また、就労移行支援で失敗しないための方法も紹介しました。
就労移行支援で失敗しないための方法は、下記の6選です。
- どんな支援を受けたいのか考える
- 事業所を探して候補をいくつかあげる
- 事業所の口コミを調べる
- 事業所を見学する
- 信頼している人と見学に行く
- 支援を体験する
就労移行支援の利用を迷っている方は、上記のポイントに気をつけて事業所を探すと、より自分に合った場所を探すことができるでしょう。
これから就職しようと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
コメント